2020年11月27日(金)にWinomy さんのオンラインイベント、シャンパーニュにある名門メゾン、ルイ・ロデレールのワイナリーツアーに参加しました。
オンラインイベントについて
参加費
参加費はワイン込みで3,980円、視聴のみで1,000円。私はワイン込みの方で申し込みました。
ワイン込みの場合、ルイ・ロデレール ブリュット プルミエのハーフボトルが送られて来ます。3,980円は送料込みの金額で、エノテカなどで普通に購入するよりも安く、商品を手に入れることができました笑
参加方法
Zoomというオンライン会議システムで開催されました。申込をすると、当日のZoomのアドレスなどが送られて来るので、19:45~19:55くらいになったら、そのアドレスから入室します。
顔出しは任意なので、顔を出したくないなどあれば、ビデオをオフにして参加すれば、こちらの様子は放映されません。よろしければ乾杯の時にはビデオをオンにしていただけるとありがたい、ということだったので、その瞬間だけはビデオをオンにして参加する形でも良いと思います。
また、ミュートにして参加するというのがルールとなっていました。参加者の声や生活音が入ってしまうと、運営者側の声が聞こえなくなってしまいますからね。何か発言をしたい時は、チャット機能や反応ボタンを使って意思表示をします。
プログラム
- Winomy、エノテカ、ルイ・ロデレールの各御担当者様の紹介
- ルイ・ロデレールの紹介動画(7分程度)
- ルイ・ロデレールのご担当者様からのご説明
- ルイ・ロデレール見学
- テイスティング
- 質疑応答
このような流れで進みました。予定では20時〜21時半でしたが、実際には21:40くらいまで延長してくださいました。この日の参加人数は120人程度だったと思います!大人気のイベントだったのではないでしょうか。
というわけで、いよいよオンラインでのワイナリーツアー開始です!
ルイ・ロデレールについて
ルイ・ロデレールの歴史
ルイ・ロデレールは1776年に設立したワイナリーです。設立以来、一貫して家族経営を守り続けることで、哲学の継承と高品質へのこだわりを実現しているワイナリーです。
シャンパンメーカーの中には、大手企業の傘下に入り、社長がすぐに入れ替わったり、利益を追求しすぎたりするケースもあるそうです。一方、ルイ・ロデレールは家族経営のため、他者から指図を受けることなく自社が理想とする品質を追求することができるそうです。
ブドウ栽培について
ルイ・ロデレールの生産するシャンパンは、70%が自社畑から、30%は長年取引のある契約農家から収穫されるブドウを使っています。
自社畑は242ヘクタール(東京ドーム約52個分)で、その全てがプルミエ・クリュ、ほとんどがグラン・クリュという恵まれた場所にあります。自社畑のうち65%にピノ・ノワール、35%にシャルドネが植えられています。
自社畑はシャンパーニュ地方の代表的なブドウ栽培地域である、モンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コート・デ・ブランで育てられています。
ブドウ栽培は「ビオディナミ」という化学薬品を使わず自然の力で畑を耕す方法で行われています。自社畑の約半分にあたる152ヘクタールの畑が、来年ビオディナミの認証を受ける予定だそうです。
これがどれだけ凄いことかというと、シャンパーニュ地方全体ではビオディナミの畑は3%前後しかないそうなので、ルイ・ロデレールの畑のビオディナミ率の高さを伺えます。
ワイン作りについて
シャンパン作りについて、簡単にまとめた記事もあります。よろしければ先に見ていただけると、少し分かりやすくなるかもしれません。
醸造
ルイ・ロデレールの醸造で最も特徴的なのが、MLF(マロラクティック発酵)を行わないということが挙げられます。
MLFというのはブドウに含まれるリンゴ酸が乳酸菌に変化する化学反応で、ワインの味わいが次のようになります。
- 酸味を和らげる(主に冷涼な産地のワイン)
- 複雑な味わいが加わる(シャンパーニュやブルゴーニュ、赤ワインなど)
- バターのような風味が加わる(アメリカのシャルドネなど)
冷涼な地域で栽培されたブドウは酸味が強いので、酸味を和らげることを目的としてMLFを行うことが一般的です。ルイ・ロデレールはフレッシュさをキープするために、そのMLFをしていないそうなのです。
これは私の考えですが、MLFをせずに鋭い酸味を抑えるためには、ブドウをしっかりと完熟させる必要があります。ルイ・ロデレールの畑はプルミエ・クリュ以上の優良な畑ばかりですし、ビオディナミの栽培により、ブドウの樹が自然本来の強さを取り戻しているのかもしれません。栽培への強いこだわりが、厳しい品質レベルのブドウが収穫できる所以なのかもしれません。
さらにMLFなしに複雑な味わいを作り上げるのですから、以下で記すように、ブドウ畑の区画を細かく分けてあげて、様々な区画から作られた味わいの異なるワインを、丁寧にアッサンブラージュ(ブレンド)する必要があると思うのです。
非常に手間のかかる醸造であると考えられます。
ベースワイン
シャンパンは、ベースワインをブレンドすることで、毎年同じような味わいに仕上げます。毎年異なる品質のブドウを収穫する一方で、毎年同じような品質&味わいを実現させるには、いかに多くの種類のベースワインを用意できるかが鍵となります。
ルイ・ロデレールでは、自社畑は400ものプロット(区画)に分け、プロット毎に分けて収穫されたブドウを、さらに500に分けて小さめのタンクに入れてベースワインを作ります。
ベースワインの25%は樽熟成させ複雑味のあるワインに、残りの75%はステンレスタンクを使い、フレッシュ感のあるフルーティかつエレガントなワインに仕上げます。
瓶内二次発酵
シャンパンは、ベースワインを瓶詰めをして密閉状態にすることで、二次発酵させて泡を生み出します。
NV(ノンヴィンテージ)シャンパンの場合、規定ではその期間は18ヶ月と決まっていますが、ルイ・ロデレールでは、ブリュット・プルミエをはじめとするNVシャンパンは36ヶ月も瓶内二次発酵を行い、デゴルジュマン(澱引き)の後に6ヶ月、出荷までセラーで寝かせているそうです。
長期間に及ぶ瓶内二次発酵により、きめ細かい泡が生まれるのだそうです。
下の写真は瓶内二次発酵の様子で、別のワイナリーで撮影した時のものです。ご参考までに…。
ワイナリー見学
オンラインワイナリーツアーでしたが、屋外にも少し出て、ルイ・ロデレールの周囲や建物も見せていただきました。…とは言っても、案内していただけたのはメインエントランスと中庭の部分でした。畑や醸造庫、熟成庫は、動画の中で紹介していただく形です。
動画では畑やブドウ栽培、醸造からアッサンブラージュの様子が映し出されていました。
最初、ちょっとぼんやりしていて、畑の様子などキャプチャ撮り忘れてしまいました…。公式Webサイトの写真を拝借します…。
その後、実際に担当者の方が外へ出て、リアルタイムでワイナリーの外観をご紹介してくださいました。
この日のシャンパーニュ地方は曇りで気温5度。寒くて曇りがちという、シャンパーニュ地方らしい天気だそうです。ちなみに現地時間はお昼くらいです。
まず、ルイ・ロデレールの場所を確認してみましょう。ランス市内の大通り沿いに位置し、近くにもいくつか有名なシャンパンメーカーが立ち並ぶ場所にあります。
外へ出ると、向かい側にはクリュッグ(Krug)やジャカール(Jacquart)の建物が見えます。
実は以前にランスに行った時、この2軒のメゾンの前を通りがかったんですよ。その時に撮影した写真がこちら。
ジャッカール
そしてクリュッグ。門が空いていたので、奥の建物も撮影しちゃいました。
外の様子を眺めた後は、メインエントランスからルイ・ロデレールの内部へ入る様子を見せていただきました。
メインエントランスから敷地内に入るためには、鍵のかかった門を通ります。こちらの門は金色に装飾されていて、メゾンの代表的なシャンパン「クリスタル」を彷彿とさせます。
中庭に入ると、右手にはガレージ、左手にはお客様を招待するセリエというお部屋があります。
さらにこの中庭の下は倉庫になっていて、200万本(!)のクリスタルがここに眠っているそう。
このような形で、建物の様子を見せていただき、テイスティングルームへとご案内いただきます。
テイスティング
テイスティングルーム
ルイ・ロデレールの担当の方が自己紹介されていた時点で、すでにテイスティングルームでしたが、改めてテイスティングルームに入室です。
壁一面にシャンパンが美しく飾られています!
ルイ・ロデレール ブリュット・プルミエ (375ml)
本日試飲するワインは、ブリュット・プルミエというシャンパンです。
実は、ブリュットプルミエのようなNVシャンパンを作るのは、意外と難しいのだそうです。
シャンパーニュ地方はブドウ栽培の北限に近く冷涼なので、ブドウの収穫量も品質も安定しません。そこで数年分のベースワインをブレンドすることで、毎年同じ味わい、同じ品質のシャンパンをリリースしているのです。
ブリュットプルミエは、ルイ・ロデレールの生産量の75%を誇り、大量に一定の品質を保ったワインを作る必要があるので「その点で生産が難しい」と仰っていました。
今回いただいたシャンパンは、70%は2015年頃に収穫したブドウを使ったベースワインを使い、30%はクリスタルに使うリザーブワイン(ベイビー・クリスタル=クリスタルの赤ちゃんと呼ばれていました)を使っているそうです。
セパージュ(ブドウ品種)はピノ・ノワール40%、シャルドネ40%、ムニエ20%。ピノ・ノワールとシャルドネは自社畑から、ムニエは契約農家から仕入れたものを使います。
ドザージュは8~9gで少なめにし、キリッとしたニュアンスが出るように仕上げているそうです。
外観は淡いレモン色。香りの強さは中程度。
最初はりんご、レモン、ブリオッシュ、パン生地、バニラの香りを感じました。その後1時間ほどすると、焼いた感じのニュアンスが出てきて、トーストや焼きリンゴのようなふくよかな香りに変化してきました。
味わいは辛口で酸味は強く、アルコールは中程度。ミディアムボディ、風味の強さは強めの中程度。余韻の長さは長いです。泡もとてもきめ細やかでした。
質疑応答
クリスタルのボトルについて
ルイ・ロデレールのプレスティージュは「クリスタル」です。一般的なシャンパンボトルと異なり、美しい透明なボトルが特徴的です。
このボトルについてもお話いただきました。
1876年、ロシア皇帝アレクサンドル2世のご要望によりこのようなボトルを作ったそうです。
なんでも、暗殺未遂に5回(!)も遭ったアレクサンドル2世。爆弾を仕掛けられないように瓶底を平たく、毒を入れられないように瓶を透明に…と、穏やかではない理由により、このようなボトルをリクエストしたとか…。
実際に、クリスタルのボトルと一般的なボトルを比較して見せていただきました。分かりますか?右の透明のボトル(クリスタル)は、底に凹みがなくてフラットなんです。
飲みきれないシャンパンの保存方法
私の方からシャンパンが飲みきれなかった時の保存方法を質問したところ、回答をしていただけました!
このようなシャンパンストッパーを使えば、数日は泡が抜けずフレッシュさをキープして美味しく飲めるそうです。
また、今回のルイ・ロデレールのように良いベースワインを使っているシャンパンは、泡が抜けてしまっても素晴らしい白ワインのように美味しく飲めるそうです。
まとめ
新型コロナウィルスの影響で、フランスはおろか外出さえままならなくなってしまいましたが、インターネットを使い、家にいながらリアルタイムで地球の裏側のワイナリーをバーチャル訪問できるのは興味深い体験でした。
また、主催者さんの方で英語を日本語に通訳してくださるのも良かったです。
探してみると、同じように国内外のワイナリーツアーをオンラインで開催しているイベントがあるようなので、他にも色々と参加したいと思いました。
インフォメーション
ルイ・ロデレール (Louis Roederer)
公式ホームページ