2019年11月にフランスのボルドーを訪れました。現地オプショナルツアーを利用してサンテミリオンまで足を伸ばしてみたので、そのときの様子をご紹介いたします。
ツアーについて
ツアー詳細
今回、私が参加した「ボルドー 曜日によって選べる訪問地区 シャトー見学半日ツアー」は、ボルドー観光案内所が主催するツアーです。
出発前に、日本からVELTRA(ベルトラ)経由で予約して参加しました。
ツアーの魅力
曜日によって好きな地区を選べる
こちらのツアーは毎日催行していて、曜日によって行き先が変わります。自分が行きたい場所に合わせて参加しても良いですし、自分の日程に合わせて参加しても良いですね。
・月曜日:ブライ地区、ブール地区
・火曜日:アントル・ドゥー・メール地区
・水、日曜日:サンテミリオン地区
・木、土曜日:メドック地区
・金曜日:グラーヴ地区(ソーテルヌ)
私は日曜日のサンテミリオンツアーに参加しました。
ワイナリーを訪れ、ワインについて学びながらテイスティングができる
ボルドーは言わずと知れたワインの一大産地です。せっかくボルドーに行くなら、ワイナリーを訪問したいですよね。
ツアーでは2カ所(サンテミリオンツアーだけは1カ所)のワイナリーを訪問できます。ワイナリーの人も英語で説明してくれます。
そしてツアーの最後にはテイスティングも用意されています。
ボルドー市内から出発し、バスで連れて行ってくれる
基本的にワイナリーの場所は都市部ではないことが多く、はっきり言って交通の便は悪いです。車がなければ行けないワイナリーも少なくありません。また、ボルドーからサンテミリオンへは電車で1時間程度かかります。
こちらのツアーだとボルドーの市街地に集合し、そこからバスで連れて行ってくれるのでとにかくラクです。バスの中は比較的安全なので、寝ながら移動できるのも良いです。
解説をしてもらえる
ツアーなので当然といえば当然なのですが、ガイドさんが訪問先の歴史や建築様式など解説してくれて勉強になりました。
価格が安い
大人(18歳以上)は45ユーロです。日本円で5,400円ほど。交通費やワイナリーでの試飲料金を考慮すると、かなりお得なツアーだと思います。
デメリット
英語とフランス語のみ
ガイドさんはボルドーの観光局の方で、英語とフランス語しか話さず、日本語は通じません。
私は、日常的な英語はわかるものの、教会の歴史を語る時に使われる宗教的な単語は分からないものも多いので、理解度は半分くらいでした。ただ、ガイドブックに載っている内容も多かったので、事前にガイドブックで予習しておけば、十分楽しめると思います。
一方、業務連絡も口頭だけでされるので、そこは注意が必要です。「3:45に集合してください」「集合場所は先ほどバスを降りた駐車場です」という内容でした。不安な方は、筆記用具を使うなどして、正確に情報を伝えてもらった方が良いかもしれません。
多くの外国人と共に行動
ツアー参加者は40人程度だと思います。英語でのガイドのため、世界中の外国人が参加します。したがって、自由時間以外は彼らと一緒に行動します。
他の参加者とコミュニケーションを取ることはほとんどありませんし、外国人参加者が多いというだけなのですが、苦手な方もいるかもしれないので、念のためご紹介しました。
集合場所のトイレが変
ボルドーからサンテミリオンへは1時間程度の移動なので、事前にトイレに行っておきたいですよね。
それなのに、集合場所のボルドー観光案内所の内部にはトイレがありません。確認したところ、目の前のカンコンス(Quinconces)駅に併設されたトイレを勧められました。
このトイレ、使い終わると謎のクリーニングタイムがあります。自動でトイレを洗浄しているようですが、トイレといっても便器の中だけでなく、全体的に?洗浄しているっぽくて、なんとなくビショビショな感じです。
清潔なのかもしれませんが、よく分かりませんでした。
このクリーニングタイムのせいで行列になります。男女兼用なので、男性の後ろに並ぶのも少し違和感がありました。
フランスの公衆トイレは、驚くほど汚いことがあるので、それに比べたら良いのかもしれません…。
スケジュール
こちらが大まかなツアーのスケジュールです。
- 13:15 集合
- 13:30 出発
- 14:30 サンテミリオン到着、街並み散策
- 16:15 ワイナリー訪問
- 17:30 サンテミリオン出発
- 18:30 ボルドー市内着、解散
サンテミリオンは美しい街なので、じっくり見たい気持ちもありますが、ツアーはなかなか忙しいスケジュールなので、慌てる場面も少しありました。
目的地サンテミリオンについて
位置
サンテミリオンはボルドー市の北東35kmに位置しています。車でも電車でも、約1時間かかります。
歴史
サンテミリオンを含むアキテーヌ地方でワインが作られ始めたのは古代ローマ時代でした。サンテミリオンの丘の上には、ローマ時代のブドウ畑の跡が残っています。
町の名前は、8世紀にこの地で隠遁生活を送った修行僧の聖エミリオンに由来します。盲目の女性の視力を回復させるなど数々の奇跡を起こし、多くの弟子たちが彼を師と仰いだそうです。
サンテミリオンは、サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼街道沿いにあることから、11世紀より数多くの教会、修道院、施療院が建てられました。
12世紀のイングランド支配下においては「ジュリディクション」と呼ばれる裁判権や管轄権もつ特権的な地位を授けられています。
中世から残る街並みと歴史的建造物、そして周辺の村々やブドウ畑全体が、1999年にユネスコの世界遺産に登録されました。
サンテミリオンのワイン
サンテミリオンは、ボルドーワインの中でも最も名高い生産地の一つです。
ドルドーニュ川の右岸に位置するサンテミリオンで栽培されるブドウ品種は、メルローが6〜8割、残りがカベルネフラン、わずかにカベルネ・ソーヴィニヨンも含まれます。
サンテミリオンは非常に広いワイン産地で、土壌が大きく3つに分かれています。土壌の違いが異なるブドウ品種、異なる品質を産み出しています。
サンテミリオンとサンテミリオン・グラン・クリュという2つのAOCがあり、後者は各種の品質規定が厳しくなっています。
右岸のサンテミリオンのワインは、ボルドー左岸のカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインと比較して、しなやかで柔らかく上品なワインが多いのが特徴です。
ツアー体験記
集合
ツアーは13:30開始です。ボルドー市の中心にある観光案内所に13:15に集合ですが、その前に窓口へバウチャーを持って行き、下の写真のようなチケットに引き換えてもらいます。
移動
バスは大型バスです。席は自由席なので、好きなところに座れます。移動中も含め、観光局のマダムがず〜っとフランス語&英語でガイドし続けてくださいます。
出発から1時間ほどで、サンテミリオンに到着です。行きはバスの中ですっかり寝てしまったので、あっという間に到着した気がしました。
サンテミリオン街並み観光
サンテミリオンに到着すると、地図を配布されました。サンテミリオンは少し迷路のようだったので、地図があっても迷いそうになりました。
コレジオ教会とモノリット教会&トリニテ礼拝堂は、ガイドさんがついて解説しながら回れます。興味がない場合は、ここから自由行動になってもよかったのですが、ほとんどの参加者がツアーで回りました。
コレジオ教会 (Eglise Collégiale)
最初に訪れたのはコレジオ教会です。
こちらはまだ、建物の内部なのですが、中庭に面した素敵な回廊です。
外に出るとサンテミリオンの街を一望できます。
モノリット教会&トリニテ礼拝堂
そしてこちらが、聖エミリオンが住んでいたエルミタージュと地下墓地(カタコンブ)。個人見学はできないようですが、このツアーだと内部も見せてもらえました。奥は写真NGなので、入り口の写真しかないです…。
街並み散策
サンテミリオンの街は、石畳の道がまるで迷路のように入り組んでいます。坂道も多く、ツルツルの石が滑りやすいと有名なので、気をつけて歩かないとなりません。
しかし街の中はワインショップや可愛いお店が並んでいてとても面白いですよ。集合時間まで1時間ほどの自由時間がありましたが、ワインショップを覗いたり、有名なお土産屋さんで買い物をしたりしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまいました!
ちなみにサンテミリオンは、日曜日でもお店が開いているので安心してくださいね。私たちが行った11月はオフシーズンでしたが、日曜日もお店は開いていました。中にはオフシーズンという理由で、平日も全てお休みしてしまうお店もあるみたいなので、行きたいお店がある方は、曜日よりもむしろシーズンを気にした方が良さそうです。
ワイナリー訪問
世界遺産の素敵な街を離れ、次はワイナリー訪問です。
訪れたのはシャトー・フォンブロージュ です。AOCの中でもより厳しい品質規定をクリアしたワイナリーに与えられるサンテミリオン・グラン・クリュのワイナリーです。
最初の収穫が1599年という、非常に古い歴史を持つワイナリーです。
建物もインテリアもとても優雅で貴族的。うっとりしてしまう雰囲気のワイナリーです。
こちらは醸造庫。
この小樽がたくさん積んであるエリアは熟成庫で、発酵の香りが充満していました。日本人の私には味噌のような香りだと思いましたが、隣にいるヨーロッパの女性は「ヨーグルト!ヨーグルト!」と叫んでいました。
この周辺のブドウ畑は、他のボルドーの地区の畑よりもむしろイタリアのトスカーナのような風景を持つ、とても美しいエリアです。
テイスティング
最後は試飲で終了となります。白ワインと赤ワインを試飲させていただきました。
すみません、テイスティングメモをつけていなかったので、公式ホームページの情報をそのまま転記&翻訳しておきます。
Château Fombrauge
セパージュ:メルロ89%、カベルネフラン8%、マルベック2% カベルネ・ソーヴィニヨン1%
色はルビーレッドで、輝き透明度も高い。香りは通常の複雑さで、表情豊かな赤系果実、黒すぐり、チェリーのプライマリーアロマを感じる。 味わいは魅力的で、しなやかなライトボディ。酸味とタンニンのバランスが良く、丸みを感じる。魅力的でエレガントでフレッシュな仕上がり。
Magrez Fombrauge
セパージュ:セミヨン40%、ソーヴィニョングリ30%、ソーヴィニョンブラン30%
フルボディで風味もとても強い。フローラルな香りやトーストの香りと、少し苦味もある。
まとめ
総合的に、とてもお得なツアーだと思います。一番のネックは英語ですが「解説は聞かない」と割り切ったとしても、手軽にラクをしてワイナリーを巡れるのはありがたいです。