世界から愛される家族経営のシャンパーニュ・メゾン、テタンジェ(Taittinger)。ノーベル賞の晩餐会でも提供されるなど、超名門メゾンとして知られています。今日は2018年10月に訪問したテタンジェについてご紹介いたします。
テタンジェについて
歴史
有名なテタンジェですが、その歴史は意外と浅く創業から100年ほどしか経っていません。
テタンジェはもともとフルノー社が所有していたものを、1930年代にピエール・テタンジェが買い取ったもので、息子のクロードによって発展しました。2005年には米国投資グループに買収されましたが、数年でクロードの甥のピエール・エマニュエルが経営権を握り、大手メゾンでも珍しい家族経営のワイナリーとなりました。
世界遺産のカーブ
テタンジェのカーブは13世紀のサン・ニケーズ修道院の遺跡を、18メートルの深さまで掘って作ったものです。テタンジェのカーブは2015年に「シャンパーニュの丘陵・メゾンとカーヴ(Coteaux, Maisons et Caves de Champagne)」としてユネスコの世界遺産にも登録されています。
ワイナリーツアー内容
テタンジェのワイナリーツアーはいくつか金額に違いがありますが、見学内容は同じです。金額の違いは、試飲できるシャンパーニュの違いとなります。
2020年9月現在のツアーメニューがこちらです。
L’instant premier 見学 + 試飲 ブリュット・レゼルヴ(Brut Réserve) | 25 € |
L’Instant Rosé 見学 + 試飲 シャンパーニュ2種類 :ブリュット・レゼルヴとプレスティージュ・ロゼ(1 Brut Réserve + 1 Prestige Rosé) | 42 € |
L’Instant Prélude 見学 + 試飲 シャンパーニュ2種類:ブリュット・レゼルヴとプレリュード (1 Brut Réserve + 1 Prélude) | 42 € |
L’Instant Millésimé 見学 + 試飲 シャンパーニュ2種類:ブリュット・レゼルヴとミレジメ (1 Brut Réserve + 1 Millésimé) | 42 € |
L’Instant Oh My Rosé 見学 + 試飲 シャンパーニュ2種類 :プレスティージュ・ロゼとコント・ド・シャンパーニュ・ロゼ (1 Prestigne Rosé + 1 Comtes de Champagne Rosé) | 63 € |
L’Instant Signé 見学 + 試飲 シャンパーニュ2種類:ブリュット・レゼルヴとコント・ド・シャンパーニュ・ブラン (1 Brut Réserve + 1 Comtes de Champagne Blanc) | 56 € |
L’Instant de Grâce 見学 + 試飲 シャンパーニュ3種類 :ブリュット・レゼルヴとコント・ド・シャンパーニュ・ブランとコント・ド・シャンパーニュ・ロゼ (1 Brut Réserve + 1 Comtes de Champagne Blanc + 1 Comtes de Champagne Rosé) | 77 € |
12 / 18 ans(12〜18歳) 見学 試飲なし | 13 € |
Étudiants(学生) 見学 + 試飲 :ブリュット・レゼルヴ (Brut Réserve) | 21 € |
-12 ans(12歳以下) 見学 試飲なし | 0 € |
ちなみに私はブリュット・レゼルヴとコント・ド・シャンパーニュ・ブランを試飲できるのを選びました。
訪問記
到着
ランスの中心地(ノートルダム大聖堂付近)からだと徒歩で20分くらいです。私が泊まったホテルはノートルダム大聖堂とテタンジェの中間地点だったので、テタンジェまで歩いて向かいました。
ヴィクトル・ユゴー通りを南下していくと、テタンジェのロゴの入った白い壁が見えて来ます。非常に分かりやすいです。
そのまま壁沿いに歩くと入り口があります。「VISITE」と書いてある方へ入って行けば辿り着きます。門から入って左前方の建物が見学の入り口です。
私は英語で説明してもらえるツアーを選び、参加者は計10名程度でした。受付を終え、待合室でしばらく待っていると、ツアーが定刻通り始まりました。
シアタールーム
まずシアタールームへ通され、ショートムービーを観賞します。シャンパーニュの歴史とテタンジェについて、テンポ良く紹介されたショートムービーです。
カーブ見学と見どころ
ショートムービーのあとは、螺旋階段をグルグルと降り、地下4階のカーブへ移動します。
今回訪問しているカーブには、約1200万本が貯蔵されているそうです。このカーブは他に比べると、それほど大きくないそうです。というのも、こちらではボトルが特殊な形状をしている「コント・ド・シャンパーニュ」や、ジェロボアムボトル(容量3,000ml)のように、手作業が必要な製品のみを取り扱っているからだそうです。
テタンジェでは、現在も稼働している現役のカーブを見学させて頂けます。したがって、ツアー中にワイナリー関係者の方が実際に働いている様子を目にすることがあります。
石灰質の土壌を利用したカーブ
いよいよ世界遺産のカーブを拝見します!
こちらのカーブは4世紀頃、建築用の白亜を削り出すための石切り場でした。中世に入り、サン・ニケーズ修道院の地下室として利用されるようになり、その後、地下室、地下礼拝堂、ワインを保存するためのカーブを繋ぐ地下通路となりました。
迷路のような地下通路は、かつては大聖堂にまで通じていたそうです。
石灰質の土壌そのままの壁は、触るとしっとりと湿っています。カーブの中の気温は常時12度以下に保たれています。さらに高い湿度が維持されることで、程よくシャンパンの熟成が進み、テタンジェの美味しさを支えているのだそうです。
カーブ内は、発熱と紫外線の放出を抑えた、特殊なオレンジ色のライトが使われています。カーブ内の温度を低く保つため、また熟成中のシャンパーニュに悪影響を及ぼさないために、このようなライトを使用しているのだそうです。
大量のジェロボアムボトル
なかなかお目にかかる機会のない大きなジェロボアムボトルが大量に並んでいる様子は圧巻です。
また、高級シャンパンのコント・ド・シャンパーニュもあります。通常のシャンパンとはボトルの形が違うのが特長的です。
テイスティング
今回のツアーでは、私はブリュット・レゼルブとコント・ド・シャンパーニュを試飲させていただきました。
ブリュット・レゼルブ
1杯目はブリュット・レゼルブ(Brut Réserve)です。青りんごや桃のような果実味豊かなアロマを感じます。その中にほんのりと白い花やバニラ、ハチミツのニュアンスがあります。爽やかで軽やかな飲み口で美味しかったです。
コント・ド・シャンパーニュ・ブラン 2007
2杯目はコント・ド・シャンパーニュ・ブラン(Comtes de Champagne Blanc)です。1杯目のブリュット・レゼルブと比較すると、全くタイプの異なるシャンパーニュです。瓶内二次発酵によるブリオッシュやイースト発酵の香りが複雑に絡み合い、とても美味しいです。
シュイイ、クラマン、アヴィーズ、オジェ、メニル・シュール・オジェというグラン・クリュのシャルドネ品種だけを使ったブラン・ド・ブランです。
ブラン・ド・ブランは一般的にすっきりとした飲み口のものが多いのですが、コント・ド・シャンパーニュは非常に厚みがあり、濃厚でしっかりした味わいを感じました。ブレンドや発酵、熟成における技巧を凝らした1本は、さすがテタンジェの最高峰だと感銘を受けました。
インフォメーション
住所:9 Rue Saint-Nicaise, Reims, フランス
公式HP:https://www.taittinger.com/ja