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WSET レベル3を英語で受講した理由と感想

2020年の年末、WSETのスクール関係の友人たちと話す機会がありました。そのたびに「なんでレベル3を英語で受けたの?」と聞かれることが多かったので、もしかするとみんな「なんで???」と思っているのかもしれませんね。

そこで今回は私がWSETレベル3の英語クラスを選んだ理由と、実際に受講した感想をお伝えします。

私の英語経験

大前提として、私はワインとは関係のないお仕事をしています。したがって日本語でも英語でも、ブドウ栽培や醸造、ワインに常に触れているわけではありません。要するにワイン愛好家です。JSAのソムリエ/ワインエキスパートなど、他のワイン資格も持っていません。

受講時の英語のレベル

2019年に受験した最新のTOEICスコアは810点でした。

仕事でも多少英語を使うことはあります。会話より読み書きの頻度が多く、読み書きはメールやチャットでのやりとりが多いです。一方、会話はほとんどしていません。たぶん典型的な「英語を勉強した日本人」だと思います。

留学経験

アメリカやイギリスなど、英語が話されている国への留学経験はありません。旅行も行ったことはありません。1週間だけ、出張でアメリカを訪れたことだけはあります。

そもそもなぜWSET?

ワインが好きで「ワイン学」のような、ワインの全般的なことを勉強できる大学や専門学校はないかな?と探してました。そんな中WSETを知りました。最高資格のDiplomaに至っては、まさに「ワインの専門教育を修了しました」という資格です。WSETは私がイメージしていたワイン学に近いと感じ、まずは初心者向けクラスから勉強してみようと考え、WSETの受講を開始しました。

WSETレベル1&2はどうしたの?

レベル1

WSETレベル1は受けていません。

レベル2

レベル2から受講を開始しました。ワインについて本格的に学ぶのが初めてだったので、レベル2は日本語で受けました。

ワインに関する超基礎的なことをしっかりと理解できた点で、日本語で受講したことは間違いなかったと思います。またテイスティングの色や香り、味わいの捉え方のコツなども日本語で理解できました。そうでなかったら、いまごろ迷子になっていたかもしれません。

なぜ英語を選んだ?

海外のワイナリー訪問のため

一番の理由は、ワイナリー訪問をもっと楽しめるようになりたかったからです。海外のワイナリー訪問は、たいてい英語のガイドさんはいますが、日本語のガイドさんはあまりいません。

私のように個人旅行でワイナリー訪問を楽しむ人間にとっては、英語でのコミュニケーションは必須です。しかしワイン関連の語彙があまりにも乏しく、明確に理解できるほどではありませんでした。そこで英語でワインについて勉強したいと思ったのです。

英語の文献に触れるため

世界中にはワインに関する素晴らしい文献やWebサイトが溢れています。

しかし私にはそれらを読みこなせるだけの語彙力も知識もない…。少しでも英語の文献に触れることができるように、ワインに関する知識を英語で勉強したいと思いました。

留学に憧れて

上述したとおり、これまでの人生では、英語のネイティブスピーカーと机を並べて一緒に勉強する経験がありませんでした。しかし英語は得意でしたし、海外にも憧れがあったので、大学留学を夢見ていたこともありました。結局、日本国内の大学に進学することになったのですが…。それでも、人生一度はそういう体験もしてみたかったのです。

最終的に「英語で受講しよう!」という決め手になったのは、駅前留学気分だったわけです。

後述しますが、英語のクラスはだいぶ大変だったので、本物の大学留学なんてしてたらエラいことになってたなと思いました。たった半年間だけ、週に1回だけの授業で本当に良かった…。

英語のクラスはどうだった?

一言で言えば、とにかく大変でした!

まず単語がわからない。日本語なら義務教育で当然習ったような「光合成」のような言葉さえ、英語だとよく分かりません。これがあらゆる言葉に対して同じこと。「緯度」「標高」「新芽」「土着品種」…。見たことのない英単語をWeblioで日本語にするところから始まります。

さらに英語の構文や文法を忘れていて、文そのものを解読するのに時間がかかります。いわゆる翻訳作業ですね。

文の構造を解読した後、ようやくブドウとは?ワインとは?を理解します。日本語の教科書なら、ここがスタート地点です。それまでの準備に膨大な時間がかかるのが英語の教科書です。

受講スケジュール

私が受講した授業は新型コロナウィルスの影響で開校が1ヶ月以上遅れてしまいました。その影響で認定試験の日程も若干遅くはなったものの、当初のスケジュールよりも凝縮されたスケジュールになったような気がします。

授業の間に予習と復習をするのが理想的な進め方です。しかし、ほぼ毎週授業があったので、1週間以内に予習と復習をする必要があり、さらに実際に私ができたのは予習だけ。先生から次回の授業のために予習するページが発表されるのですが、そのページを読み進めるだけで精一杯でした。

復習らしい復習ができたのは、授業が終わり認定試験が実施される間の1ヶ月間のみ。この1ヶ月間で試験対策を詰め込んだ感じでした。

ネイティブじゃないとついていけない?

私のクラスは先生が英語のネイティブスピーカーではなかったので、話すスピードは比較的ゆっくりだったと思います。そういう意味では、英語のネイティブスピーカーでなくても授業にはついていけました。ただ、レベル2の時もそうでしたが、授業の進み方自体がとてつもなく早いので、そういう意味では授業についていくのは必死でした。

授業が始まって最初の30分くらいは英語を話せるのですが、後半はもはや頭が回らなくなります。指名されても「何も言わない」「トンチンカンな答えを言う」「日本語で答える」という最悪な生徒でした。

いずれにしても、予習して授業を理解できただけでは認定試験は太刀打ちできないので、どれだけ認定試験に向けて準備できるかの方が重要だと思います。

ラクして英語クラスを受けるコツはある?

ワインスクールで授業を申し込むと、通常は選択した言語(日本語か英語)の教科書、どちらか1冊しか配布されません。しかし実は、WSET本部のオンラインショップで、受講可能な言語全ての教科書を購入することができるのです。

つまり、そちらで日本語の教科書を入手することで、かなりラクに英語クラスを受けられるようになると思います。実際、私のクラスにも日本語の教科書を補助的に使う日本人生徒もいました。

英語の教科書だと、書いてあることを読んで理解するところで膨大な時間がかかるので、日本語の教科書と並べながら読めば、理解するための時間を削減できると思います。

日本語の教科書は、もしかするとワインスクールでも購入できるかもしれませんので、スクールの窓口に問い合わせてみるのも良いと思います。

ちなみに私は日本語の教科書は買いませんでした。理由は、日本語の教科書があったらそれしか見なくなるから。自分の目標は「レベル3に合格すること」ではなく「英語を使ってワイナリー訪問できるようになること」「英語文献を読めるようになること」だったので、日本語教科書は使いませんでした。

試験対策はどのように行なった?

オンライン対策講座

学生時代、授業を聞いて教科書や参考書を読むだけでは記憶が定着せず、友達と問題を出し合ってテスト対策をしたことはありませんか?WSETの試験対策も同じで、問題を解くことによって理解度が上がり、記憶が定着します。

しかしWSETの試験問題の模擬試験はあまり出回っていないのが難点。ソムリエ試験のように書籍も出ていませんし、過去問も公開されていません。

そんな中、充実した問題集が掲載されている有料サイトThirty fiftyを見つけたので、こちらを使って筆記試験(選択問題&論述の両方)の試験対策をしました。

インターネット検索

英語受験の場合、インターネットで海外のWSETレベル3受講者の情報や練習問題を手に入れることができます。

「WSET LEVEL3 QUESTION」などの検索ワードで検索し、いろいろ探しました。私が勉強中に発見したサイトは消えてしまっていましたが、選択問題の練習問題があるサイトを発見しました。

スクールの先輩と特訓

私よりも一つ前のクラスでレベル3を受験した方と偶然知り合うことができました。その方がとても良い人で、レベル3の試験勉強を一緒にしてくださいました。何が良かったかと言うと、日本語で質問を出してもらい、日本語(私は英語の混ざった怪しい日本語)で回答し、日本語で説明してもらえたことです(笑)この特訓で初めて「そういうことか!」と分かったこともありました。

一緒に勉強してくれる仲間を作るのは、とても有効だと思います。

こんな方には英語受講をオススメしたい

海外展開を目指す方

ワインの知識を海外で生かしたいと考えている人は、英語受講をオススメしたいです。「海外展開」というほどではありませんが、私も英語を使ってワインを楽しみたかったので、英語に挑戦しました。

Diplomaを目指す方

Diplomaは英語のみの受験となります。レベル3で基本的語彙の英語力を身に付けておいた方が、Diplomaに進んだ時にラクだと思います。上記のスクールの先輩はレベル3(日本語)に合格後、Diplomaに進んでいますが、私が最初につまづいた英単語で同じように「大変だ!」と言っていました。

英語受講をオススメしないのは…

「レベル3」の資格をできるだけ苦労せずに取りたい方、英語が得意ではない方は、あえて英語を選ぶ必要はないでしょうね。日本語で受験できるというメリットを最大限に利用すべきです。

まとめ

個人的には、英語受講は本当に大変でしたが、今は英語を選んで良かったと思います。新型コロナの影響で、海外のワイナリーには行けていませんが、英語の文献は少しずつ分かるようになって来たような気がします。英語で勉強したからと言って、日本語のワイン用語が分からなくなるようなこともありませんので、少しでも英語に興味がある方は、チャレンジすることで世界が広がると思います。