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2019年11月にメドック格付け5級のシャトー・カマンサック(Château Camensac)を訪問したので、訪問記をご紹介させていただきます。
シャトー・カマンサックについて
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歴史
シャトー・カマンサックの歴史は1799年から始まります。もともとこの土地は、4級シャトーのシャトー・ベイシュヴェルの畑でした。1799年はフランス革命真っ只中。革命によってベイシュヴェルはこの土地を奪われます。土地は国有化された後に再分配されます。
格付けシャトーの中では無名でしたが、スペイン出身のフォルネル兄弟によって生まれ変わりました。フランスきっての醸造学者エミール・ペイノー教授のコンサルとを受け、畑の多くは植え替えられ、貯蔵庫や醸造所、設備も全て最新のものに一新しました。
スタイルが軽くなり、現在ではしなやかさと果実味を強調したものになっています。
2005年以降は、シャトー・グリュオー・ラローズのジャン・メルロー(Jean Merlaut)氏と、姪でシャス・スプリーンのセリーヌ・ヴィラール(Celine Villars-Foubet)氏の共同経営です。
彼らが経営に入って以降、シャトー・カマンサックではより良いワインを作るための改革を推し進めています。例えば、ブドウの木を1/3植え替えたり、化学肥料に頼らないビオや、ややスピリチュアルな農法であるビオ・ディナミによる栽培に移行し、テロワールを反映させるブドウ作りに力を入れています。
現在では、毎年ファーストとセカンド合わせて30万本前後のワインを製造しています。
テロワール
シャトー・カマンサックはサンローラン村にあり、アペラシオンはオー・メドックとなります。オー・メドックは北側な内陸、南側はマルゴーを除くジロンド河沿いに広がっています。
土壌はギュンツ氷河期に堆積した砂礫で、ピレネー山脈由来の小さな砂利が主体となり、サンジュリアンやポイヤックと比較すると砂の含有量が多いことが特徴です。このため、ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンを主体とした上品さと、ソフトで軽い味わいのものが多いです。
砂利の多いシャトー・カマンサックの畑は、水捌けがとても良いのが特徴です。ブドウは水と栄養分の少ない土壌の方が、糖分と味わいの凝縮した果実を作れるので、水捌けが良い土壌はワイン作りに適した土壌です。
またこの辺りはジロンド河が近く、風が強いのも特徴です。ボルドーは海洋性気候で雨が多い地域なので、風が強く吹くことで湿った空気が乾き、ブドウにカビが発生することを防げます。
訪問記
シャトー・カマンサックへは、海外現地オプショナルツアー予約の専門サイト VELTRAで予約したツアーで連れて行ってくれました。
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門が開くと、大きな前庭と可愛らしい洋館が来訪者を迎えてくれます。壁面にはツタが生え、とても上品で雰囲気が良いです。
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応接間のようなところに通され、シャトーについての概要を伺いました。内容は、記事の冒頭でご紹介した歴史やテロワールについてです。
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シャトーについて概要を伺った後、屋敷の裏口から外へ出て、畑を見学させて頂きました。
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シャトーを訪問したのは11月下旬。土寄せの作業が終わった後だったので、ご覧のようにブドウの木の列に沿って、土がこんもりと盛られた状態になっています。
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社有車にもシャトー・カマンサックのロゴが入っていました。意外とかわいい車を使ってるのですね。
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醸造庫
こちらが醸造庫です。ヴィンテージ2019年の場合、9/20から25日間に渡りブドウの収穫作業があったそうです。区画別に分けて収穫し、そのまま分かれた状態で醸造作業に入ります。
収穫されたブドウを1週間発酵させた後、2週間は醸しを行います。醸造の最後に味を確認し、ファーストワインに用いるブドウの区画や、アッサンブラージュの比率等を決めます。
醸造は温度管理のできるステンレススチールタンクで行われていました。
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熟成庫
醸造後はワインを木樽に移して熟成させます。
樽の一番上の絵柄は木樽メーカーのロゴです。その下に書いてある「2019」は樽を作った年です。したがって、ここにある木樽はすべて新樽ということになります。
また「CM」「ML」は木樽の焦がし具合を表しています。「CM」は「Chaud Moyenne」、「ML」は「Medium Longue」を意味しています。
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2019年ヴィンテージのワインは、このまま2021年6月まで木樽熟成されるそうです。
樽は全てフレンチオーク(フランス製の木樽)を使うそうです。一般的に樽の生産国はフランスの他にも、アメリカやハンガリー等もありますが、シャトー・カマンサックが作りたいスタイル&味わいのワインを作るにはフレンチオークが最適らしく、他の国の樽は使わないそうです。
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試飲スペース
一通りの見学が終わり、テイスティングルームへと通して頂きました。
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テイスティングルームには古いボトルが展示されています。中身はもう飲めないそうで、エチケット(ラベル)を見るためだけのボトルと考えて良いようです。
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テイスティング
テイスティングはファーストワインとセカンドワインを、それぞれ1本ずつを頂きました。
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ラ・クローズリー・ド・カマンサック2011
シャトー・カマンサックのセカンドワインです。
12〜14ヶ月ほど樽熟成させますが、新樽は使わないのだそう。新樽を使わない場合、バニラやトーストなどの樽の香りが弱まり、フレッシュな味わいとなる傾向があります。
中程度のルビー色。香りは赤系果実やタバコの香りで、香りの強さは中程度。味わいは、フレッシュ感が溢れ酸味が強め。バランスの良いワインです。メルロ主体でタンニンは弱めです。余韻もそんなに長くはなく中程度。ミディアムボディ。スルスルと飲めるワインだと感じました。
ちなみに現地価格は13.5ユーロ!ボルドーのワイン価格はだいたい日本の半分くらいでした。
シャトー・ド・カマンサック2009
シャトー・カマンサックのフラッグシップであるファーストワインで、グレートビンテージである2009年のものです。セカンドワインと比較すると、こちらの方がだいぶ力強い味わいですし、ボリュームも大きいです。
外観は中程度のルビー色。黒系果実やバラ、バニラ等の香りが豊かです。セカンドワインでは使用しない新樽を使って熟成させているため、樽熟成から来る香りを、より強く感じます。
フレッシュで酸味が強い印象です。細かいタンニンを感じ、エレガントなワインです。現地価格は45ユーロでした。
インフォメーション
Château Camensac
公式ホームページ:http://www.chateaucamensac.com
住所:Route de Saint-Julien, 33112 Saint-Laurent-Médoc, フランス