ボルドーのマルゴー村にある格付け2級、シャトー・ラスコンブ(Château Lascombes)を2019年11月に訪問しました。
格付け2級とは?
メドック格付けは、1855年のパリ万国博覧会にボルドー地方のワインを出展する際、ナポレオン3世の命令によりボルドー商工会議所が定めた最初の公式の格付けです。
格付けには赤ワインと白ワインが含まれます。赤ワインの方は、58のシャトー(現在は分割されたものがあり61となります)を1から5級に分類したものです。
シャトー・ラスコンブは上から2番目のランクに位置する2級に分類されています。
シャトー・ラスコンブについて
歴史
シャトー名は1625年生まれの最初の所有者、シュヴァリエ(騎士)ラスコンブに由来します。
それ以来、10世代に渡りラスコンブの歴史に成功を刻み続けて来ました。
1951年から1971年まで所有していいたアクレシス・リシーヌの超人的な努力の結果により、高品質の非常に良好なワインとなりました。
1952年から1992年まで、格付け3級のシャトー ・フェリエールの畑を借りていたことがありました。格付けは違いますが、フェリエールの良いところををラスコンブへ加え、ラスコンブの品質をアップさせていました。
その後イギリスの大手ビール会社の所有を経て、2001年、投資家グループMACSFの手に渡った途端、早々に結果を求めるオーナーたちに応えるべく急激な改革をスタートしました。設備への投資は惜しみなく、しかし結果が出せないとみなされた人員はすぐ解雇。完全実力主義の世界で、失敗は許されないという緊張感の中、確実に売れるワインが造り出されています。
建物
シャトー・ラスコンブの優雅なお屋敷はシャトーのアイコンそのもので、エチケット(ラベル)にも採用されています。
鉄の門の後ろに見える優雅な建築様式のお屋敷は、17世紀と19世紀の要素が混ざり合った、様々なスタイルから成り立っています。
元の建物は17世紀に建てられた「シャルトリューズ」様式の建物で、 1階部分にまだその名残があります。一方で、歴代の所有者たちの手により建物は改築が施され、19世紀に大きな変貌を遂げました。その頃、イギリス風が特に流行したこともあり、建物の上層階にその影響を見ることができます。
敷地内から見ると、建物とそれに隣接するブドウ畑の景色が素晴らしいです。
訪問記
シャトー・ラスコンブは、海外現地オプショナルツアー予約の専門サイトVELTRA で予約したツアーで連れて行ってくれました。
ラスコンブの畑はマルゴー地区に120ha、オー・メドック地区に10haあります。これほど大規模の畑を持っているのは、1855年に格付けされたシャトーの中でも上位に入ります。そのうちの50%がメルロー、45%がカベルネ・ソーヴィニヨン、5%がプティ・ヴェルドです。カベルネ・ソーヴィニヨンは、樹齢が60〜65年のものもあるそうです。
まずは醸造庫へ行くために、お屋敷の裏手の方へと回りました。周りには実際のブドウ畑もありますが、お屋敷のすぐ裏には、AOCボルドーで使って良いとされる6種類のブドウの木が植えられています。
お屋敷をグルリと周ると、シャトー・ラスコンブの醸造庫があります。中の見学もさせていただきました。
こちらが1階から見える景色です。1階に樽、2階にタンクがありますが、実は3階にも作業場があり、そちらでブドウを絞るのだそう。自然の重力の力に任せて、ワインが下に落ちてくるそうです。
醸造庫を後にし、別の建物へと移動します。そちらにはセラーやテイスティングコーナーがありました。
熟成庫(セラー)はとても現代的です。樽が入っていない夏の時期にはコンサート会場として使われているのだそう。
熟成庫の奥には鉄格子で閉ざされた扉があります。
中に入ると、年代物の貴重なワインがたくさん眠っていました。こちらのワインは記者さんなどの大切なお客様が来た時に、おもてなしのためにサーブされるのだそうです。
テイスティング
ツアーの最後はテイスティングで締めくくります。
セカンドワインのシュヴァリエ・ド・ラスコンブとファーストワインのシャトー・ラスコンブをいただきました。
Chevalier de Lascombes 2016
産地:フランス ボルドー
GI:Margaux(マルゴー)
品種:メルロー50%、カベルネ・ソーヴィニヨン50%
生産者:Château Lascombes(シャトー・ラスコンブ)
ラズベリーやチェリー、レッドカラントのような赤系果実の香りの中に、タバコの香りも混ざり合います。2016年ヴィンテージなのでまだまだ若く、香りも味わいもフレッシュです。ファーストワインの方は新樽を70%使用しますが、こちらのセカンドワインには新樽を使いません。そのため、樽熟成から来るバニラやコーヒーなどの香りはあまりせず、その辺りもフレッシュな印象に繋がっているのかもしれません。渋みはありますが、タンニンが細かく上品なワインです。
Château Lascombes 2012
産地:フランス ボルドー
GI:Margaux(マルゴー)
品種:メルロー48%、カベルネ・ソーヴィニヨン48%、プティ・ヴェルド4%
アルコール度数:13%
生産者:Château Lascombes(シャトー・ラスコンブ)
ご覧の通り、中程度のルビー色。黒系果実の香りのほかに、コーヒーやバニラ、ブラックチョコレートのオーク樽由来の香りや、胡椒のようなスパイシーな香りもあります。18ヶ月間、木樽で熟成させているそうなので、オーク樽の香りを感じます。味わいは、豊かな果実味と柔らかくも芯の強いタンニンと酸を感じます。余韻が非常に長いのが印象的な、エレガントでとても美味しいワインでした。
動画のご紹介
今回、短めの動画を作ってみました。音楽が出るのでお気をつけください!
インフォメーション
Château Lascombes
公式ホームページ:https://www.chateau-lascombes.com/en/home/
住所:1 cours de Verdun, 33460 Margaux, フランス