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Wine Traveler

  >  ワイン旅   >  アメリカ   >  ワイナリー巡り:JUSTINでワインとチョコレートのペアリング

2024年8月、アメリカの南カリフォルニアを訪れた際、パソ・ロブレスにあるJUSTIN Vineyards & Winery(ジャスティン・ヴィンヤーズ&ワイナリー)のテイスティングルームを訪問しました。

JUSTINは、1981年にジャスティン・ボールドウィン氏によって設立された、ボルドースタイルのブレンドワインで高い評価を得ているプレミアムワインの生産者です。パソ・ロブレスの温暖な気候と昼夜の寒暖差は、しっかりとした酸と熟度の高いブドウの育成に適しています。

特に、フラッグシップワインの「アイソセレス(Isosceles)」は、カリフォルニアの高級ボルドースタイルワインの代表格として知られています。

テイスティングルームはとてもゆったりしていて、白を基調とした高級感あふれるインテリアで、入口にはフライトメニューが掲示されていました。
入店すると左手にカウンターがあり、店員さんがそちらにいらっしゃいます。右手には少人数客用のソファに小さなテーブルが3つくらいぽつりぽつりと並んでいました。さらに奥には、大人数客向けのテーブル席があります。

私が入店したときは、テーブル席に2〜3組のお客さんが入っていました。私は手前の、ソファ席へと通していただきました。

金髪ですごく高い位置でポニーテールしている、いかにもスタイリッシュなアメリカ人女性といった雰囲気の店員さんがアテンドしてくださいました。

メニューはプレミアム・フライトとワインフライトの2種類があり、20ドルの追加料金でチョコレートとのペアリングも楽しめます。私はワインフライトにチョコレートフライトを追加し、以下のペアリングを体験しました。

1杯目

  • ワイン:2023 ロゼ
  • チョコレート:ストロベリー・バジル・ホワイトチョコレート

このロゼワインはステンレスタンクで醸造され、ラズベリー、いちご、濡れた石、ピンクグレープフルーツ、バラの香りが特徴です。アタックは柔らかく、酸味が穏やかで、ワインに厚みを感じます。チョコレートはバジルホワイトチョコレートガナッシュで、ハーブ感のあるいちごのミルクチョコレートが爽やかな甘さを引き立て、美味しく調和していました。

2杯目

  • ワイン:2021 ヴィオニエ
  • チョコレート:パッションフルーツ・ホワイトチョコレート

ワインは100%ヴィオニエで、7ヶ月間ニュートラルなフレンチオークで熟成されています。輝きのあるゴールドイエローの色調で、カリン、白い花、アプリコット、黄桃、バニラの華やかな香りが広がります。パッションフルーツを練り込んだホワイトチョコレートガナッシュとの組み合わせは、チョコレートの酸味がワインのフルーティーさを引き立て、余韻に柔らかなミルクチョコレートの風味が広がり、絶妙なバランスでした。

3杯目

  • ワイン:2021 リザーブ・マルベック
  • チョコレート:ヘーゼルナッツ・プラリネ

100%マルベックを使用し、21ヶ月間50%の新しいフレンチオークで熟成されたこのワインは、濃いルビー色を呈し、熟したプラムやクローブ、ナツメグのスパイシーな香りが特徴です。ソルティなヘーゼルナッツのチョコレートと合わせることで、ワインのプラムの風味とチョコレートのナッツ感が見事に調和し、最終的にはすりごまのような独特の味わいが楽しめました。

4杯目

  • ワイン:2017 ジャスティフィケーション
  • チョコレート:スモークド・シーソルト・キャラメル

65%カベルネ・フランと35%メルローからなるエレガントなボルドーブレンドで、20ヶ月間44%の新しいフレンチオークで熟成されています。濃いルビー色に縁がほんのりオレンジ色を帯び、ピーマンやブラックプラム、レーズン、プルーン、リコリスの香りが感じられます。スモークド・シーソルトとキャラメルのミルクチョコレートガナッシュとのペアリングは、一見意外に思えますが、ワインのタンニンとチョコレートの甘さが調和し、驚くほど美味しい組み合わせでした。

奥の座席から出口に向かう女性客に「今のところどのチョコレートが好き?」と聞かれたので、「このキャラメルが好きですよ」と答えたところ、彼女も「どのペアリングもとても美味しいね!」と、ご満悦の様子で帰って行きました。

なぜこの組み合わせが調和するのか全く分からないのですが、きっと赤ワインは樽熟成させるからだろうと予測しています。

5杯目

  • ワイン:2020 アイソセレス
  • チョコレート:カベルネ・ダークチョコレート

パソ・ロブレス訪問前は、冷涼なピノ・ノワール産地に滞在していたため、こうしたボルドースタイルのワインは久しぶりに感じました。
88%カベルネ・ソーヴィニヨン、6%カベルネ・フラン、6%メルローからなるフラッグシップワインで、20ヶ月間100%新しいフレンチオークで熟成されています。ワインのプルーンやデーツ、ナツメグ、クローブ、バニラの香りは複雑に絡み合い、果実味豊かで甘味さえ感じるようなふくよかな味わいが、とても良くできたカリフォルニアワインといった味わいです。後味がキリッとしているので、れっきとした辛口ワインです。ダークチョコレートのカベルネガナッシュとの組み合わせは、互いに甘さを抑えたペアリングで、余韻が引き締まったまま心地よく終わります。

総評

JUSTINのワインとチョコレートのペアリングは、それぞれのワインの特性を最大限に引き出す、計算された組み合わせでした。どのワインも個性が際立っており、それに寄り添うように作られたチョコレートが、味わいのバランスや深みをさらに引き立てます。

特に印象的だったのは、「2020 アイソセレス × カベルネ・ダークチョコレート」のペアリング。ワインの濃厚な果実味とダークチョコレートのビターなコクが、互いを引き立て合い、最後まで引き締まった味わいを楽しめました。

また、「2017 ジャスティフィケーション × スモークド・シーソルト・キャラメル」は、ワインの持つピーマンやスパイスのニュアンスと、キャラメルの甘みと塩気が融合し、驚きのマリアージュを体験できました。

チョコレートとのペアリングは、単に甘さを加えるだけではなく、ワインの酸やタンニン、スパイス感を引き立てたり、フルーツの風味をより際立たせる効果があることを実感しました。

JUSTINのテイスティングルームは、ワインそのもののクオリティの高さはもちろん、ペアリングの工夫やプレゼンテーションの美しさも魅力的で、訪れる価値のある体験でした。カリフォルニアワインの奥深さを味わいたい方には、ぜひおすすめしたいワイナリーです。


JUSTIN Vineyards & Winery 訪問のポイント

✔ ワインフライトとチョコレートペアリングは、追加料金で楽しめる(プレミアム・フライトもあり)
✔ 白を基調とした洗練されたテイスティングルームで、ゆったりと試飲可能
✔ カベルネ・ソーヴィニヨン主体のボルドースタイルワインが豊富
✔ チョコレートとのペアリングがユニークで、ワインの新たな魅力を発見できる

パソ・ロブレスを訪れた際は、ぜひJUSTINのテイスティングルームで、極上のワインとチョコレートのペアリング体験を楽しんでみてください!

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