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600円のシャルドネについて考えたこと

シャルドネって、個人的には実は選ぶのが難しい品種なのでは?と思っています。

なぜなら多様性がすごいから。

ワインの原料となるブドウを栽培できる地域は冷涼、温和、温暖な気候に分類されます。例えばカリフォルニアワインで有名なジンファンデルは温暖な気候でないと熟すことはできません。

一方、シャルドネは冷涼、温和、温暖いずれの気候でも栽培できます。どんな気候でも栽培できるというブドウ品種はそんなに多くありません。

ただし栽培された場所によって、ワインの特徴は変わります。冷涼ならリンゴ、温和なら柑橘系果実やモモ、温暖ならトロピカルフルーツのような香りのワインができます。

さらに、シャルドネには品種特有の香りがほとんどありません。こういう品種をニュートラルなブドウ品種といいます。ニュートラル品種であるシャルドネは、ワインの作り手が自分の求めるワインのスタイルを追求しやすい品種ともいえます。

シャルドネのスタイルは、樽を使うタイプと使わないタイプで、大きく2つに分かれます。樽を使わず、シャープでキリッとしたタイプで知られるのはフランス ブルゴーニュ地方のシャブリ。(ただし、すべてのシャブリが樽を使わないわけではありません)

一方、樽を使ってバニラやココナッツ、トーストのような香りを足し、リッチで濃厚なタイプのワインにすることもできます。このタイプで有名なのは同じくブルゴーニュのムルソー。いずれも高級ワインとして知られるワインです。

では安いワインはどうなるでしょうか?安いワインを生産できる地域というのは相場が決まっています。ブドウがよく育つ温和〜温暖な気候に位置し、肥沃な土壌を持つ地域で、この条件に当てはまるのがアメリカ、チリ、オーストラリアなどです。600円で買えるシャルドネはだいたいこの地域のものが多いようですね。

これらのブドウ畑から収穫されたシャルドネを使ったワインは柑橘系やモモ、トロピカルフルーツのような香りがします。さらに樽の香りがするものも多いです。特にアメリカのワイン。(香りがするだけで、実際に樽を使った醸造をしているわけではありません)

いずれにしても、この価格帯のシャルドネではだいたい似たような味わいのワインとなります。つまり、果実味豊かで樽の香りがあり、酸味が程よく飲みやすい。余韻は短く、家庭料理によく合うワインです。どれを選んでもそんなに大きく違うわけではないのですが、オススメを聞かれると悩んでしまいます…。

シャルドネは多様性がすごいから難しいと思いましたが、安ウマワインに関してはそんなに多様性はないかもしれませんね。