
2021年4月の寒波と春霜、ワインへの影響など
3月終わり辺りからしばらく暖かい日が続いていました。1週間ほどは暖房もつけずに過ごしていて、そろそろ我が家のファンヒーターも片付けようかと思っていました。
しかし寒さは突如として戻ってきました。
暖かくなって、一時は一緒に寝てくれなかった猫たちも、また布団の中に戻って来て、一緒に寝てくれるようになりました。
この寒さ。どうやら東京だけではなかったようです。
2021年4月上旬、フランスは季節外れの寒波に見舞われました。
ワイン界隈のみならず、Twitterのいたるところからブドウ畑で火を灯す写真や、凍つくブドウ畑の様子が流れてきました。
春霜(英語ではSpring frostと言います)は、シャブリやシャンパーニュのような冷涼なワイン産地では珍しくない自然災害です。こうした産地では、主にシャルドネやピノ・ノワールといったブドウ品種が、春霜の被害を受けることが多いです。
しかし今年はシャブリやシャンパーニュのみならず、ロワールやボルドーなど、フランス中で被害が報告されています。
霜害からブドウを守れ ワイン農家がブドウ畑にキャンドル灯すhttps://t.co/YlZkBVAxoi
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) April 8, 2021
白ワインの生産地として知られるフランスのブルゴーニュ地方やトゥーレーヌ地方にあるブドウ畑では、ブドウの芽を春霜から守るため、無数のキャンドルが灯されたり藁が燃やされたりしている。
Photo by REUTERS pic.twitter.com/LeBXWMA9eK
Incredible images of the fires lit by French winemakers this past week to fight off the unexpected late spring frost, and try to save the 2021 harvesthttps://t.co/EaC8XrrLir pic.twitter.com/IS6GcHM06X
— Irène DB (@UrbanFoxxxx) April 13, 2021
🔥 Meanwhile in Bordeaux… the @chladominique team hard at work last night in their valiant fight against spring frost. #Vintage2021
— Millesima USA (@MillesimaUSA) April 7, 2021
📷: Chateau La Dominique pic.twitter.com/Hz1STtrMnD
フランスの中では比較的、南の方に位置しているボルドーでさえも、春霜の影響が出ているようです。特に影響を受けているのはメルロー。メルローはボルドーの中でも広く栽培されている黒ブドウ品種です。
ボルドーは、例えば赤ワインの場合、メルローの他にカベルネ・ソーヴィニョンやカベルネ・フランなど、複数のブドウ品種を栽培し、ブレンドすることでワインを作っている地域です。
メルローの他にもブドウ品種はあるのですが、なぜメルローに限って春霜の被害に合っているのでしょうか?
その答えは、メルローの発芽時期にあります。メルローは早期に発芽するEarly buddingの品種です。一方、カベルネ・ソーヴィニョン発芽は遅く(Late buddingと言います)、カベルネ・フランはその中間なので、メルローと比較すると春霜の被害にあいにくいのです。
メルロー同様Early buddingに区別されるのが、冒頭でご紹介したシャルドネやピノ・ノワール。
Early buddingの品種は3月頃に芽吹いてしまいます。日本でもそうですが、3月頃ってまだ時々寒いですよね。寒い時に春霜の被害に遭って新芽が凍ると、ブドウがうまく実らなくなってしまうのです。そうなると当然、最終的に収穫できるブドウの量が減ってしまいます。
春霜の一番の被害は、収穫量の減少です。
ブドウの生育期の天候次第では「出来の良いビンテージ」となる可能性もありますが、収量の低さだけはもうどうにもならないのです。