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私はワインが好きなのだと気づいた時のこと

「あけみさん、10年以上もワインを趣味にしてるってすごいですねえ!」

フランスへワイナリーの旅に出ようと決めたのは、10年以上前に一緒に働いた元同僚のこの言葉がきっかけでした。

自分を見失うほど多忙な仕事を辞めたのを機に、それまで会えなかった人たちと再会する時間を作ったり、それまで行けなかった場所を訪れたりした時期がありました。そんな時、10年以上前に一緒に働いた方から、関西にいる上司と同僚に会いに行こうと誘われたのです。

ずっと行きたかった京都を訪問し、せっかくだからと丹羽ワインさんを訪問した後、冒頭の同僚と久しぶりに再会を果たします。で、そこで言われたのがこの言葉でした。

彼女、仮にIさんとします。Iさんと一緒に働いていた頃、とても安くワインを習える教室を見つけ、そこで初めてワインについて学びました。その教室の話をIさんにすると、一緒に行ってみたいと言うので、何度か一緒に通いました。その後すぐにIさんは引っ越すことになり、私だけが通い続けるようになりました。

しかし私も、多忙な会社に転職してしまったため、その教室には通えなくなったのです。それでも時々、教室を主宰していた先生のサロンに顔を出すなど、相変わらずワインは趣味で、ワイン会や試飲会にも参加しました。

だから成人してからずっと「ワインのことは分からないけれど好き」な人として生きていました。

そう聞くと、私のことを「一つのことをコツコツとやり遂げる人」と思うかもしれませんが、実際はその逆で、驚くほど飽きっぽいです。仕事でも趣味でも、ある程度できるようになると、さらなる知識を求め、飛び立ちたくなってしまう。決して、毎日同じことをコツコツできるタイプではないのです。

ついでにそんなに頭も良くないから、ある程度のところまで学んでも、その先の頂上までは目指せません。すべてが中途半端な器用貧乏といったところ。知識に対する先行投資を回収した試しなどありません。いろいろな資格にチャレンジしても、すぐに飽きてしまうのです。

そんな私ですが、フランスとワインが好きなことだけはずっと変わっていません。ただ、自分がそれらが好きだということをあまり意識しないで生きてきていました。Iさんから冒頭の言葉を言われてハッとしました。

『これだけ長い間好きなんだから、これから先もきっと好きなはず』

そんな風に考えて、同じようにずっとずっと好きだったフランスへ、ワインの旅に出かけてみることにしました。1回につき数十万円単位の金額が飛んでいくヨーロッパ旅行だから、旅のテーマをワインに絞り込むのにはちょっとした覚悟が必要でした。

ワインの旅は本当に楽しかったけれど、ワインの知識が足りず、作り手さんの説明がよく分からないこともたくさんありました。ワインについてちゃんと勉強したら、もっとずっと楽しいだろうなと心底感じました。

ワインの資格、WSETに挑戦しようと思ったのはそれがきっかけ。ずっと好きだったんだから絶対頑張れるという謎の自信だけはありました。ワインの勉強は終わりのない沼。学んでも学んでもキリがない上に、学べば学ぶほどワインが楽しくなります。だからきっと、これからもずっと変わらず好きでいられるような気がするのです。