ワイナリー巡り:格付け1級 シャトー・ムートン・ロートシルト(フランス/ボルドー)

ワイナリー訪問。シャトームートンロートシルトinフランスボルドー

こんにちは。
あけみ(@akemi_246)です。

2019年11月フランスのボルドーを訪問し、メドック格付け1級のシャトー・ムートン・ロートシルト(Château Mouton Rothschild)を訪問しました。今日は、その時の様子をお伝えいたします。

格付けの歴史の中で唯一、第一級へ昇格したシャトー

メドック格付けは、1855年のパリ万国博覧会にボルドー地方のワインを出展する際、ナポレオン3世の命令によりボルドー商工会議所が定めた最初の公式の格付けです。

格付けには赤ワインと白ワインが含まれます。赤ワインの方は、58のシャトー(現在は分割されたものがあり61となります)を1から5級に分類したものです。

1855年の時点ではシャトー・ムートン・ロートシルトは2級のシャトーでした。同じロートシルト家でも、フランス系のシャトー・ラフィット・ロートシルトは最初から1級。シャトー・ムートン・ロートシルトはイギリス系のため、1級から外されたのでは?など様々な憶測がされています。

それでもシャトー・ムートン・ロートシルトは諦めませんでした。ワインの品質向上やロビー活動など精力的に努めた結果、見事1973年に1級昇格を果たすのです。

メドック格付けの長い歴史の中で、このような形で格付けの変更が行われたのはこれが最初です。それ以降も、格付けの変更は行われていません。

訪問記

予約から到着まで

シャトー・ムートンは私のような一般客でも、予約を入れれば訪問ができます。予約は公式ウェブサイト から可能です。シャトー・ムートンは日本語のウェブサイトも用意してくれているので、予約は入れやすいです。

ただし返信は英語で来ます。また見学ツアーはフランス語か英語のみとなっていますので、ご注意ください。

参考までに、今回予約をした時の回答メールをご紹介します。

It will be a pleasure to welcome you to Château Mouton Rothschild on XXXday Xth November at 9.30 am for an English tour and a tasting.

It includes our wine making facilities, our Wine Museum, our Exhibition Paintings for the Labels and a tasting of our three classified growths : Château Mouton Rothschild, Château Clerc Milon and Château d’Armailhac. 

It lasts about 2.5 hours in total and the entrance fee is 65 € per person. Our tours are not private at Château Mouton Rothschild so you might be joining a group of 15 people maximum.

11月x日x曜日の午前9時30分、シャトー・ムートン・ロートシルトで英語ツアーとテイスティングをお楽しみいただけます。

ワイン製造施設、ワイン博物館、ワインラベル展示絵画、シャトー・ムートン・ロートシルト、シャトー・クレールミロン、シャトー・ダルマイヤックの3種類の試飲が含まれます。

ツアーの所要時間は約2.5時間で、入場料は1人あたり65ユーロです。シャトー・ムートン・ロートシルトのツアーはプライベートではないため、最大15人の団体ツアーとなる可能性もございます。

私はボルドー市内に滞在していました。ボルドー市内からシャトー・ムートン・ロートシルトが位置するポイヤック村へは1時間ちょっとかかるので、朝早く出発しました。

ボルドー市内からポイヤック村へは、シャトー街道を走る路線バスを利用しました。ボルドー市内を7時10分に出発する始発に乗れば、9時30分にシャトー・ムートン・ロートシルトに到着します。

>>> 路線バスで巡るメドック:ボルドー市内〜ポイヤック村

シャトー・ムートン・ロートシルトの最寄りのバス停はLe Pouyaletです。ここから徒歩5〜10分でシャトー ・ムートンに到着します。

略図を作ってみました。Le Pouyaletのバス停から行く場合、バスから降りて一度、来た道を戻る形となります。

途中、このような小さくて地味な看板がありますので、見逃さないでくださいね。

Château Mouton Rothschild

写真を撮影しながらゆっくりと歩いて、9:30ぴったりに到着しました。こちらが見学ツアーの入り口です。「ツアーはこちら!」のような派手な看板はないので、注意が必要です。

Château Mouton Rothschild

事前の案内では「ツアーは最大で15人と一緒になるかもしれない」と言われていましたが、11月のオフシーズンだったせいか、ツアー客は私たち1組だけでした。ガイドさんの英語はとても流暢で、聞き取りやすかったです。

シャトー見学

こちらがシャトー・ムートンのワイナリーです。

Château Mouton Rothschild

エントランス

前オーナーのフィリピーヌさんが女優だったことから、ワイナリー全体が舞台を意識した造りにしたそうです。舞台上の観客が見る部分と、舞台裏の見せない見せない部分を、きっちりと区別する造りになっています。いわゆるエントランス部分は、このような雰囲気のある空間がお出迎えしてくれます。

飾られているのは全て羊。シャトー・ムートンの「ムートン」が羊を意味するからかと思いきや、フィリピーヌさんが牡羊座だったため、大変に羊を気に入っていたという理由からこのようなオブジェになったのだとか。

Château Mouton Rothschild Château Mouton Rothschild

醸造庫

下の写真は、本来は隠れているはずの「舞台裏」ですが、ちょうど壁が取り除かれていたので見ることができました。

こちらはブドウの選果台です。高級ワインは、熟していないブドウや傷のあるブドウなどを人の手で選別することが多いです。しっかりと熟したブドウだけを使うことで、より凝縮感のある味わい深いワインを作ることができます。

Château Mouton Rothschild

下の写真は除梗機だったと思います。ブドウの房から粒だけを取り出す機械です。ボルドーでは房ごと醸造することは少ないので、こうした機械を使って粒だけの状態にしワイン造りを行います。

Château Mouton Rothschild

こちらが醸造庫です。今いるのは2階部分で、この下に醸造容器となる大きなタンクや樽があります。2階部分にブドウを入れる開口部があるので、ここから醸造容器にブドウを入れます。

Château Mouton Rothschild

醸造容器には、ブドウを区画別に分けて入れ醸造をします。

Château Mouton Rothschild Château Mouton Rothschild

赤ワイン造りでは、ブドウの皮も一緒にアルコール発酵させることで、赤い色やタンニン(渋み)を抽出するのですが、アルコール発酵過程で生じる二酸化炭素の力で、途中で皮が浮いて来てしまいます。皮と果汁がしっかりと接触していないと色とタンニンが抽出できないので、発酵中に混ぜる必要があります。

そこで、発酵容器の下から発酵中のワインを抜いて、同じ発酵容器の上からホースで散布して、皮をと果汁が混ざるようにする作業(ポンピング・オーバー)をします。

Château Mouton Rothschild

シャトー・ムートン・ロートシルトでは発酵容器を特注しているそうで、そのこだわりポイントがこちら。発酵容器の横だけでなく、下にもホースの取り付け口があります。より大きくダイナミックに循環させられるように、このような形にしたそうです。

Château Mouton Rothschild

醸造後、優れた味わいのワインを順番に、以下の順番で振り分けていくそうです。

  1. 格付け1級シャトー・ムートン・ロートシルト(=ファーストワイン)
  2. プティ・ムートン(=格付け1級ムートンのセカンドワイン)
  3. 格付け5級シャトー・クレールミロン&シャトー・ダルマイヤック
  4. デイリーワインのムートン・カデ

つまり優先度はプティ・ムートン>格付け5級で、格付け1級のセカンドの方が上なのです。面白いですね。

熟成庫

ポイヤックのワインは、カベルネ・ソーヴィニョンというタンニンの多いブドウ品種をメインに、複数のブドウ品種をブレンドして作ります。小さな樽で熟成させると、タンニンが和らぐ効果を得られます。小樽熟成は2年程度行なうことが多いようです。

そうした背景から、シャトー・ムートンには数年分のワインを熟成させるための小樽がたくさん置いてありました。

Château Mouton Rothschild

下の写真は伝統的な澱引きの様子。ろうそくの火を使って、ワインの状態を確かめていました。

Château Mouton Rothschild

醸造庫の最後には、超厳重に保管されたワインボトルが眠ります。
「ここでは絶対にフラッシュ使わないでね!!!!絶対ダメだよ!!!」「ノーフラッシュ!!」と何度も念押しされて言われたので、このワインたちは相当のお宝だと想像できます。

Château Mouton Rothschild

トボガンの間

醸造庫を後にし、エレガント&ラグジュアリーな空間へと進みます。このお部屋は「トボガンの間」というお部屋です。トボガンはフランス語ですべり台という意味。天井部分の傾斜がすべり台のようだということで、この名前がついたそうです。

トボガンの間は、毎年プリムールの時に使われるそうです。プリムールとは、まだ熟成中のワインを先行して売り出す商習慣のこと。毎年春になると、流通業界の関係者がこちらに集まり、前年に収穫・醸造したワインを試飲会をするそうです。

Château Mouton Rothschild

トボガンの間の外にはブドウ畑の眺望が広がります。

Château Mouton Rothschild

グラン・シェ

このお部屋の隣には、有名なシャトー・ムートンの熟成庫「グラン・シェ」があります。

Château Mouton Rothschild

ここにあるのは全て新樽で、1年目のワインを熟成する熟成庫です。グラン・シェは全長100メートル、幅25メートルで、オーク樽1000個を積まずに一段に並べられる広さを誇ります。建築家はシャルル・シクリスです。

グラン・シェは、1924年にムートンがシャトーでボトル詰めするシステム(元詰め)を導入するにあたり、建設されたものです。それまでは樽のままワイン商に出荷していたので、樽を保管する場所が新たに必要となったのです。

Château Mouton Rothschild

これだけ大量の新樽になると、樽メーカー1社だけでは納品できないので、8社の樽メーカーから納品してもらっているそうです。ワインはボルドーの一大産業。それを支える業者さんが、数多く存在していることが伺えます。

グラン・シェの奥には古いボトルやラベルなどがいくつか置いてあります。

Château Mouton Rothschild

上の写真は1973年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルです。冒頭でご紹介したように、1973年は格付け1級に昇格して初めての年であり、ムートンにとって記念すべきヴィンテージです。描いたのはパブロ・ピカソです。

Château Mouton Rothschild Château Mouton Rothschild Château Mouton Rothschild

ミュージアム

この後ミュージアムに行くのですが、ミュージアムは写真NGなので写真はありません…。上でご紹介したような歴代のワインラベルが全て飾られていたり、ワインやムートンに関連のある貴重な宝飾品や工芸品を見せてもらえます。

公式ウェブサイトでいくつか紹介されているので、気になる方はこちらをご覧ください。

テイスティング

最後はテイスティングです。シャトー・ムートン・ロートシルト、シャトー・クレールミロン、シャトー・ダルマイヤックの3種類を飲ませて頂きました。

Château Mouton Rothschild

シャトー・クレールミロンとシャトー・ダルマイヤックはシャトー・ムートンが所有しているシャトーなので、試飲対象となっています。

シャトー・ダルマイヤック 2012

メドック格付け5級のシャトー・ダルマイヤック(Chateau d’Armailhac)で、ヴィンテージは2012年です。

セパージュ:カベルネ・ソーヴィニヨン54%、メルロー29%、カベルネフラン14%、プティヴェルド3%。
赤系果実の香りとウッディーな香りやイーストの香りがします。タンニンが滑らかな印象でした。

次に試飲するシャトー・クレール・ミロンやシャトー・ムートンと比較して、ダルマイヤックだけ赤系果実の香りが強く、1番女性的なワインのように思いました。
ダルマイヤックのエチケット(ラベル)はバッカスの絵。ミュージアムに展示されている宝飾品の中に、小さなお人形のバッカスがあるのですが、そちらがモチーフになっています。

シャトー・クレール・ミロン 2014

シャトー・クレール・ミロン(Château Clerc Milon)ヴィンテージは 2014年です。

セパージュ:カベルネ・ソーヴィニョン58%、メルロー29%、カベルネフラン11%、プティ・ヴェルド1%、カルメネール1%

黒系果実やチョコレート、スパイシーな香りを感じます。酸味もタンニンもしっかり感じます。このワインはボルドー格付けワインとしては珍しく、カルメネールを使用してます。カルメネールがチョコレート感を引き出している、とガイドさんに教えて頂きました。

シャトー・ムートン・ロートシルト 2011

シャトー・ムートン・ロートシルト(Château Mouton Rothschild)ヴィンテージは2011年です。

複雑でバランスが素晴らしくて、もの凄くまん丸なワインでした。私如きでは取ることができない複雑性の中に、コーヒーの香りだけが際立っていたのは印象深かったです。

セパージュ:カベルネ・ソーヴィニョン90%、メルロー7%、カベルネフラン3%。他のビンテージにはプティ・ヴェルドも入りますが、2011年には入れてないそうです。

ブラックチェリー、ブラックプラムの黒系果実の香りの中に、コーヒー、バニラといった樽熟成から来る香りや森の香りがします。香りの強さは強いです。ムートンは、ファーストワインには贅沢に100%新樽を使ってるので、樽香をしっかり感じます。タンニンは中程度で、細かくてスムース。余韻は長いです。とてもエレガントなワインでした。

インフォメーション

Château Mouton Rothschild
公式ホームページ:https://www.chateau-mouton-rothschild.com/?lang=ja
住所:Château Mouton Rothschild, 33250 PAUILLAC, フランス

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